漢方のはなし
今年のインフルエンザと風邪
1月3日、新発田地区の休日・夜間診療所の当番で下越薬剤師会支援センターで調剤をしてきました。今年はインフルエンザは大人の方が多いようです。子供さんは予防接種が効いているようで殆どいませんでした。風邪の方は、消化器に症状が現れている方が多いようで、下痢や吐き気の方が多いようです。
漢方薬で風邪薬といえば代表的なものに葛根湯(かっこんとう)があります。葛根湯は体を温め発汗させるお薬です。ですから寒気がある方で汗が出ていない方にあっています。発汗させることにより熱を下げる効果もあります。ただ、葛根湯だけでは温めや発汗効果が足りません。そのため、消化の良い温かい飲食を摂り、温かい格好をしたり毛布に包まることも必要です。葛根湯は温める薬なので、冷たい状態で服用しても効果が全く無いのです。また、発汗後は薬の服用を止めてゆっくり休みます。発汗後も葛根湯を服用し続けると、汗をかきすぎて、ウイルスと戦う体力も消耗してしまうからです。風邪やインフルエンザは自分とウイルスとの体力勝負です。出来るだけ早めの服用が大切です。普段から風邪薬を常備しておく事をおすすめ致します。
葛根湯にも副作用はあります。多くの副作用は、胃腸障害と心臓への負担です。心臓病や胃腸病をお持ちの方は服用できない場合があります。今年のような消化器に症状が現れる場合は、藿香正気散(かっこうしょうきさん)や五苓散(ごれいさん)、小柴胡湯(しょうさいことう)などが良いことがあります。また、葛根湯からの胃腸への負担を減らす目的で併用することもあります。
体力がない方やお疲れの方の風邪には、ウイルスと戦う力をつける参蘇飮を使用します。
インフルエンザは体力のある方には、初期に葛根湯や麻黄湯(まおうとう)などが良い場合もありますが、熱が高くなったり咽喉が痛くなったりするので、銀翹散(ぎんぎょうさん)に板藍根(ばんらんこん)を併用するほうが良い場合が多いと思います。
どの漢方薬、西洋薬(タミフル、リレンザ、イナビルなど)にしても最終的には自分の体力・免疫力が大切です。
2015.1.7