漢方のはなし
腎不全湯
20数年前、講師の先生は忘れましたが中医師の先生の勉強会で、腎機能が低下した方に黄耆(おうぎ)が良いと聞きました。その当時、当店で杞菊地黄丸を服用されている方が、健康検査で『腎臓が悪い(血清クレアチニンが高い)と言われた』と相談をうけ、さっそく黄耆を含む漢方薬を紹介いたしました。残念ながら、効果がなかったのか黄耆製剤はその後服用をやめてしまいましたが、杞菊地黄丸は続けてくださりました。もともと、杞菊地黄丸などの漢方薬は補腎薬といった分類になります。補腎薬の有名な漢方薬には、八味地黄丸や牛車腎気丸などがあり、これらも似たような成分内容になっています。
つまり、補腎薬だけでは、クレアチニンが高い方には思った以上の働きは得られません。もちろん困っている症状を改善する働きがあるので、悪くはないのですが、クレアチニンを減らすことはできないようです。
漢方の専門書で黄耆を調べると確かに、利尿、抗腎炎(とくにタンパク尿に対して)、降圧、血管拡張作用などがあると書かれています。またある書では肝臓保護作用があると書かれています。ただ、黄耆は使用量によって作用が変わったり、全然効果が表れなかったりするようです。どうやら、以前お薬を紹介した方が途中で服用をやめてしまったのは、量が少なすぎて効果がみられなかったためかもしれません。また、腎臓は自覚症状が感じにくい、わかりにくい為かもしれません。
そんな時、うちの父が書き残したものに『腎不全湯』なるものがありました。
インターネットで、腎不全湯の出典を調べようと思いましたが、検索にヒットしません。
その代わり、江部先生達が報告した『養腎降濁湯』がヒットしました。
腎不全湯と養腎降濁湯は基本処方は全く同じでした。ただ、腎不全湯は大量黄耆を主薬に全5種の薬草から構成されていますが、養腎降濁湯は少し構成薬草数が多いようです。加減方?なのかもしれません。
これを参考にして、お薬を紹介すると、かなりクレアチニンが改善されます。
しかし腎機能は酷くなると回復が難しくなります。年とともに腎機能が低下することは避けられません。
クレアチニン、eGFR、タンパク尿、腎不全、透析などのキーワードを言われたら、黄耆が含まれる漢方薬を試してみるのもありだと思います。

