漢方のはなし
牛の結石
漢方薬には面白いものがございます。その中の一つに牛の胆嚢や胆管にできた結石を用いたものがございます。この結石を漢方薬では牛黄(ごおう)と呼んでいます。牛は草食動物であり、胃袋が4つもあるため、結石ができることは極稀で、非常に高価なものです。
近年では研究や開発が進み、人工的に結石を作ることが出来るようになりましたが、まだまだ高価なものです。
このような牛黄ですが、皆様の身近なお薬にも少量ですが含まれています。例えば、少し高価なドリンク剤や、心臓の薬(動悸・息切れ・きつけに…)、疳の虫の薬に含まれています。その他に漢方薬では熱さましや腫瘍、意識障害などに使用されています。
牛黄を含む漢方薬の代表的な処方には牛黄清心丸(ごおうせいしんがん)や安宮牛黄丸(あんぐうごおうがん)などがございます。これらは、高熱・転々反側・意識障害・うわごと・痙攣などの症状に用いられます。
また、牛黄には高い熱を下げる作用があるので、インフルエンザ時などの高熱に他のお薬と組み合わせて使用することが出来ると考えられます。
このように、緊急を要する症状をお持ちの方の薬に入っている場合が多いので、自己判断で服用せず、専門家に相談するようにしてください。