漢方のはなし
おもしろ草 げんのしょうこ
昔からよく名前を聞く薬草に『げんのしょうこ』というものがあります。
または『イシャイラズ』や『イシャナカセ』と呼んでいる方もいらっしゃると思いますが、『げんのしょうこ』は健胃・整腸・止瀉作用があり、胃腸に働く民間薬として使用されています。この止瀉作用、下痢を止める作用は葉に含まれる、タンニンが働いているためです。
『タンニン』と言う言葉も日常でもよく聞くと思いますが、代表的なものではお茶の渋み成分がそのタンニンです。
漢方理論には、味別の体への影響をまとめたものがありますが、渋み成分を含む薬草には収斂作用があるといわれ、下痢や、尿漏れ、汗漏れ、遺精などの漏れる症状などの改善薬に配合されていることが多いです。
しかし、げんのしょうこの面白いところは、十分なタンニンを抽出するためには、長い時間煎じる必要があり、短い時間しか煎じないと、タンニンの抽出も少なく、下剤としての成分が抽出され、まったく反対の効果をもった薬になってしまいます。
間違って服用していると、下痢を改善するために飲んでいても、中々下痢が止まらなかったり、便秘の改善のために飲んでいても、余計に便が出にくくなる可能性があります
漢方薬には、薬草ごとに、効能効果意外に煎じ時間や、煎じ方、使用する部位などが先人の経験によって言い伝えられてきました。
げんのしょうこをお飲みの方は、使用目的と、煎じ時間を一度専門家にご確認してご服用ください。また、便秘でお困りの方は、渋みが強いものの摂りすぎにご注意ください。