漢方のはなし
夏の汗のかきすぎからくる疲れに
漢方薬の処方に生脈散と言うお薬があります。このお薬は人参(にんじん)・麦門冬(ばくもんどう)・五味子(ごみし)という3種の薬草から出来た薬で す。人参は元気を付け、臓腑の機能を高めるお薬として有名だと思います。麦門冬は体の組織や臓腑に水分を補充する働き、五味子は五つの味を持った薬草と言 われています。実際には酸味が強く少々渋味を感じる薬草ですが、酸味のものを口にすると、つばが沸いてくるように出てくると思いますが、その酸味で体に潤 いをつけて、渋みの収斂作用で体の水分を保持する働きがあります。生脈散の働きとして、気陰両虚(きいんりょうきょ)という、元気がなく体が乾いた潤いが 足りない方に使用します。体の元気を補いながら、水分を補いながら保持させる薬です。五味子の酸味も、人参の甘味で緩和され、生脈散は飲みやすい味に変わ ります。
夏にスポーツをした時またはする前、慢性病などで汗を多くかいた後、疲れや、倦怠感、体力低下した時に使用できます。脱水症状がある時にも有効とされています。
このことから、夏にぴったりのお薬で、夏ばての予防になると考えられます。
今年の夏も暑くなると予想されます。夏のスポーツ前、登山前、外出前、日々の生活の疲れの回復、これから頑張ろうとしている方、慢性病、胃腸機能の低下でお困りの方にお勧めいたします。
但し、血圧が高い方などで、服用を慎重にしなくてはならない場合もありますので、専門家にご相談してみてください。