漢方のはなし
咳に用いる薬草、貝母
貝母とはユリ科のアミガサユリの鱗茎で、中国では浙江省の浙貝母と、四川省の川貝母と区別されています。
正確には、川貝母はアミガサユリではなく、ユリ科の同属植物です。
中医学の薬効分類は、両方ともに化痰止咳薬に分類され、痰を取除き咳を止める働きがあるとされています。
日本では、主に貝母といった場合は、浙貝母をさします。川貝母は、浙貝母に比べ高価な薬草で、秋の乾燥時期になると、咳きでお悩みの方が、梨・蜂蜜と一緒に料理して食することが多いようです。
浙貝母と川貝母の細かい違いとしては、浙貝母は、患部を乾燥させ炎症や熱を取り除く働きが強いので急性の咳に、川貝母は、患部を潤し痰を取り除くので、慢性の咳に使用されることが多いです。
梨・蜂蜜は、肺や気管支などを潤す働きがあるとされているため、川貝母が入手しにくい場合は、浙貝母で代用します。
また、食欲がなく痰が多い方であれば、咳がなくても川貝母を用いることが出来ます。
両貝母ともに、冷やす性質があるために、体が冷えている方や寒さから咳き込む方には、効果が現れるどころか悪化する可能性があります。貝母を用いる場合は、専門家に相談の上で使用するようにしてください。
その他にも咳に良いとされている薬草や漢方薬も数多くあります。ご興味のある方は、ご相談ください。