漢方のはなし
人参の代用? 党参(とうじん)
生薬(自然界の物質を用いた薬)には、○参と呼ばれる、生薬が何種類かあります。
よく知られたものに人参(にんじん)がありますが、その他にも党参、丹参(たんじん)、苦参(くじん)田七人参(でんしちにんじん)、西洋人参(せいようにんじん)などなどがあります。
この中の党参は、漢方薬の人参の代わりに入っていることがあります。本来、人参が含まれる代表的な漢方処方には、補中益気湯、六君子湯、帰脾湯など多くの処方がありますが、漢方製剤メーカーさんによっては、人参ではなく党参を使用するメーカーさんもあります。
人参と党参は、人参はウコギ科で、党参はキキョウ科なので、まったくの別の種類の植物になります。しかし、両生薬共に胃腸の働きを助け元気をつける働きがあるため、同じような使用方法をしています。
党参と人参の大きな違いは、人参の方が元気を付ける働きが強いが血圧が上がる可能性があること、党参は人参より元気を付ける働きが弱いが血圧を下げる働きがあることです。
長期に服用する場合は、状態を見ながら党参が含まれる漢方薬に変更するほうが良い場合もあります。
また、鉄欠乏性貧血には党参が必要になります。党参が含まれる貧血のための漢方薬には婦宝当帰膠があります。長期に服用でき、胃腸の働きを良くする党参。人参に負けないくらい良い生薬だと思います。
胃腸虚弱や貧血、夏ばて等でお困りの方は、ご相談してみてください。